試験検体:食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤をポリスチレンチューブを用いて蒸留水で希釈した。 尚、ウイルスとの反応もポリスチレンチューブ内で行った。又、このウイルス液と試験検体:食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤の希釈液は(1:9)の比で混合し、反応させた。
VeroE6/TMPRSS2 細胞(10-cm ディッシュ)に m.o.i.が約 0.01 になるようにウイルス液を細胞に接種させ、1 時間後に接種液を吸引除去して血清非含有 DMEM(5 ml)を入れて培養した。細胞変性効果が細胞全体に広がって細胞がはがれ始めたところで培養上清を回収し、低速遠心と 5-µm フィルターで細胞を完全に除いてウイルス液とした。
ウイルス液と試薬を(1:9)の比率で混合し、室温で所定の時間反応させたのちに血清非含有DMEM で 10 倍に希釈して反応を止めた。さらに 10-8 まで 10 倍段階希釈をおこなった。次にVeroE6/TMPRSS2 細胞(96 ウェルプレート)の 4 個のウェルに各希釈のウイルス液を 50µl/well で接種させ、一時間後に吸引除去して 100µl/well の血清非含有DMEM に置換して培養した。3 日後に各ウェルの感染の有無を判定して、Behrens-Karber 法で 50%感染希釈を計算し、ウイルス感染価[50% Tissue culture infectious dose (TClD50)/ml]を求めた。
試験検体:食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤 1/10 希釈液(遊離塩素濃度(Cl=35.45 として)20 mg/L)でウイルス感染価は検出限界(6.3×10) 以下にまで低下[5.5Log 以上(≧99.999%)が除去]していた。なお、この感染価は検出限界であり、ウイルス感染細胞は全く観察されていない。よって、実際の感染価はこれよりも低く、このウイルスは完全に除去(不活化)されたと考えることができる。また、試験検体:食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤 1/20 希釈(遊離塩素濃度(Cl=35.45 として)10 mg/L)でも未処理(血清非含有 DMEM)に比べると、ウイルス感染価を1/1000 以下にまで低下[3.25Log (99.945%)が除去]しており、SARS-CoV-2 に対する除去(不活化)効果※はあるといえる。
※効果の評価は、平成 27 年度 ノロウイルス不活化条件に関する調査報告書(国立医薬品食品衛生研究所)の評価基準に準じている。
以上の結果は、広島大学大学院医系科学研究科ウイルス学研究室 坂口 剛正 教授が実施された試験結果(未公表)に基づき、三慶グループが作成したものである。