食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤のSARS-CoV-2に対する不活化(除去)効果を、一般的に使用されている塩素系消毒剤である次亜塩素酸ナトリウムと比較してみましたので、その結果を以下にご報告させて頂きます。
試験検体:ウイルスとの反応も1.5mLチューブ内で行った。
なお、ウイルス液の調製は以下のように行った。VeroE6/TMPRSS2細胞(25cm2フラスコ)にm.o.i. が0.001になるように1.5 mLのウイルス液(SARS-CoV-2JPN/TY/WK株)を細胞に1時間接種した後、2.5 mLのDMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)を入れて48時間培養した。その後、培養液を回収し、培養液10 mLあたり1 gのポリエチレングリコール 6,000と0.233 gの塩化ナトリウムの条件でポリエチレングリコール(PEG)沈殿処理を行った後、上澄み液(培地成分やFBS等)を除去し、沈殿物(ペレット)をリン酸緩衝液(PBS)で懸濁し、ウイルス濃縮液とした。
抗ウイルス試験の方法は以下のように行った。ウイルス濃縮液と試薬を60μL:540μL(1:9)の比率で混合し、室温で所定の時間反応させたのちに、0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム30μLを加え、中和した。その後、DMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)を用いて10-6まで10倍段階希釈をおこなった。VeroE6/ TMPRSS2細胞(96ウェルプレート)に各希釈のウイルス液を100 µl/wellで接種し、一時間後に吸引除去して100 µl/wellのDMEM low glucose培地(2%FBS、1 mg/mL G-418含有)に置換して培養した。また、2日後に各ウェルの感染の有無を判定して、Behrens-Karber法で50%感染希釈を計算し、ウイルス感染価 [50% Tissue culture infectious dose (TCID50)/ml]を求めた。
食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤は遊離塩素濃度(Cl=35.45として)10㎎/L (DPD法)【推定値】 [含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約400 ppm(ヨウ素還元滴定法)]の濃度で6.2 log TCID50/mLのSARS-CoV-2の感染価を検出下限以下(1.5 log TCID50/mL)まで低下(≧99.998%減少)させることができていた。
一方、次亜塩素酸ナトリウム溶液では同じ遊離塩素濃度(Cl=35.45として)10 ㎎/L (DPD法) 【推定値】[含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約10 ppm(ヨウ素還元滴定法)]で10秒間処理しても6.5 log TCID50/mLのSARS-CoV-2の感染価を4.1 log TCID50/mLまでしか低下(99.874%減少)させることはできず、処理時間を3分間にまで延長したとしても2.5 log TCID50/mLまでしか、SARS-CoV-2の感染価を低下(99.990%減少)させることはできていなかった。
また、食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤の場合、遊離塩素濃度(Cl=35.45として)1 ㎎/L (DPD法) 【推定値】 [含量 亜塩素酸(HClO2=68.46)として約40 ppm(ヨウ素還元滴定法)]と前述の10分の1の濃度でも、30秒間処理することで3 log TCID50/mLのSARS-CoV-2の感染価を低下(99.900%減少)させることができていた。
以上の結果により、ウイルス液の夾雑物を限りなく除去した(取り除いた)有機物非存在条件下における、SARS-CoV-2に対する消毒薬としては、広く一般的に利用されている次亜塩素酸ナトリウムよりも明らかにこの食品添加物殺菌料亜塩素酸水の製剤の方が、低濃度でかつ短時間でウイルス(SARS-CoV-2)を不活化(除去)することができる薬剤であるということがこの試験で明らかとなった。
以上の結果は、大阪府立大学 大学院生命環境科学研究科 山崎 伸二教授が実施された試験結果(未公表)に基づき、三慶グループが作成したものである。